ツールドおきなわが終了して国内のロードイベントはこれにて終了な感じですが、
結果について言うと、S-WORKS VENGEが、昨年に続き2年連続で市民レース210kmを制するなど、多くのカテゴリーでスペシャライズドのバイクが勝利を挙げました。
もちろん、この日の為にトレーニングを積み重ねてきた選手の努力によるものであることは疑う余地もなく、バイクの差であるなどということはおこがましい話です。
ただ、販売店としては勝利を挙げた選手たちの多くがスペシャライズドのバイクを使用していたという事実はアピールしたいポイント。
今日はスペシャライズドの他社と全く違う開発アプローチ「Rider-First Engineered」についてざっくりと説明したいと思います。
数年前まで、ロードバイクの開発は、どの会社もフレーム剛性を重視するものでした。
あるメーカーは前三角をよりコンパクトにし、あるメーカーはBB周りをより大口径にし剛性を上げる工夫をし。
広告の謳い文句は「前モデル比〇〇%剛性UP」
それが良しとされてきた時代なので私自身も「高剛性は正義である、のだろうな。」と思っていたのかもしれませんね。
いつの間にかアマチュアライダーなど置き去り。
プロはパワーがあるから乗りこなせる、レーサーでもないのに硬いハイエンドは無理。そんなイメージでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
各社フレーム開発の際はおおよそ外国人の平均180cm75kgぐらいのライダーを基準にバイクの剛性やカーボンのレイアップを組み立てていきますが、その基準となる56サイズの剛性指数を「10」とすると、そのままフレームサイズを小さくしただけの場合、44、49、52サイズの小柄なライダーにとっては10は硬すぎなのです。逆に体格の大きい190cmのサイズ61や58のライダーにとっては逆に剛性不足となっていました。
プラスチックの定規をイメージしてください。同じ厚みであれば長い方はよくしなりますが短い方はあまりしなりません。
そう言われてみればで気づくのですが、
44サイズに乗るのが身長155cm体重50kgのライダーだとして、
56サイズに乗るのが身長180cm体重70kgのライダーだとしたら。
体重が20kgも違うのに同じ硬さで良いはずがありません。ママチャリ一台分が余計にフレームに乗るんですよ。
スモールライダーにとって56サイズで剛性設定されたフレームは硬すぎです。
特に52サイズ170cm前後が中心サイズの日本人にとっては多くのハイエンドバイクは過剛性と言えます。
これを根本から変えたのがターマックSL5から採用された「Rider-First Engineered」ライダー・ファースト・エンジニアードと呼ばれる技術です。
今ではスペシャライズドが開発するMTBを含むカーボンバイクの全てに採用される技術の呼び方。
フレーム開発にはRETUL FITによってサーバーに集められた世界中のライダーの膨大な体格分布データが使用されています。
このデータにはもちろんサイクレスタでRETUL FITを受けられた方のデータも含まれていますよ。
これを知ったとき自分が開発に携わってるような気がして、ワクワクしました。
データを元にサイズ44から61まで7種類のフレームサイズに合う最適な剛性レベルとジオメトリでフレームを個別に開発していきます。
パイプの形状や太さだけでなく、カーボンの積層方法、厚み、シートの数や重ねる方向に至るまで徹底してサイズごとに変えていきます。
なので他社製品のようにT1000カーボンとか〇〇トンカーボンという表現では表せません。単一カーボンを使用しているわけでなく全サイズ違うのでFact11rとかFact12rといった表現になります。
逆に単一カーボンでは全てのサイズで理想のしなりは生まれません。
重要なのはパワーではなく、体格差。
最終的に各サイズそれぞれのテストライダーによってライドフィーリングの部分をチューニングされていき、完成に至ります。
その開発作業は7サイズ全てを個別に開発していくという膨大な作業です。7車種を同時に開発しているようなもの。
他社ではそんな膨大な開発予算と手間を掛けてまでやりません。
でもそんな事をやるのがスペシャの最も大事にしている考え「Rider-First」です。
ちなみに世界最大手メーカーの開発予算は4年100億ですが、それに対してスペシャライズドは4年150億もの予算を開発に当てています。
下の表は大泉が作った、「ライダーファーストエンジニアードで作られたスペシャの56サイズの剛性指数を10、他メーカーの56サイズも同じ10としたら他のサイズや他メーカーはこんな感じ」表。
今日のブログはこの表の数字が全てと言っても過言ではありません。以下この表をご覧になりながら読んで下さい。
ちなみに、さらっと重要なことを言いますが、表の数字の通り、S-WORKSとそうでないグレードのフレーム剛性は同じです。
厳密に言うと違いは使用するカーボンのグレードが違いますので「剛性ターゲット」と言ったほうが良いかもしれません。
S-WORKSの方がハイグレードなカーボンを使用しているので、より軽量に作られています。
ですので、レースするわけではないのでハイエンドはいらない、というのはS-WORKSには当てはまりません。
予算さえ合えばより軽量なS-WORKSぜひどうぞ。軽いだけならS-WORKSじゃなくてもいいという考えもアリだと思います。
SL5の登場後、VENGE Vias、ROUBAIX、TARMAC SL6、VENGE、ROUBAIXと登場のたびにアップデートを重ねさらに熟成の域に達した「Rider-First Engineered」新しいモデルに乗るたびに進化を感じます。
各サイズに最適な剛性やジオメトリを過不足なく作り上げたフレームは、柔らかい硬いでは括れない「あなたにとって最適」のバイクだと思います。
200km走った後のゴールスプリントやエスケープ、長距離のサイクリング、山をいくつも超えるヒルクライム。小柄な女性が乗っても大柄な男性が乗っても、レーサーでもそうでなくても、適正サイズであるならば「とにかくよく走る。速いのに乗りやすく、疲れない。」
長く生涯スポーツとしてロードバイクを楽しみたいと思ったとき、スペシャライズドのバイクはきっとあなたを遠くまで運んでくれる最高の相棒となると言えます。
※書きたい内容が多すぎて支離滅裂かもしれませんが、おしまい。